日本酒の国際品評会:IWC、Kura Masterの見方
日本酒の国際品評会を詳しく解説。IWC、Kura Master、全米日本酒歓評会など、審査基準、カテゴリー、結果の読み方を紹介します。
日本酒の国際品評会
日本酒の評価は、もはや日本国内だけで行われるものではない。
世界各地で国際品評会が開催され、日本酒の品質が国際的な視点で審査されている。主要な国際品評会の仕組みと、結果の読み方を解説する。
国際品評会の意義
なぜ国際品評会が重要か
国際品評会は、日本酒の世界的な普及に貢献している。
蔵元にとって
- 海外市場への足がかり
- 国際的な評価の獲得
- 輸出時のセールスポイント
消費者にとって
- 品質の国際的な保証
- 海外で評価される酒を知る機会
- 新しい銘柄との出会い
日本酒業界にとって
- 国際的な認知度向上
- 品質基準の国際化
- 海外ソムリエ・バイヤーとの接点
国内品評会との違い
国際品評会は、国内品評会とは異なる特徴がある。
審査員の構成 国際品評会は、海外のソムリエ、ワイン専門家、料理人なども審査に参加。日本人以外の味覚で評価される。
評価基準 国際的な視点での評価。ワイン文化圏の審査員は、ワインとの比較で日本酒を見ることも。
カテゴリー分け 海外消費者に分かりやすいカテゴリー設定。価格帯や飲み方で分けることも。
IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)SAKE部門
概要
世界最大規模のワイン品評会に設けられた日本酒部門。
設立:2007年 主催:IWC(イギリス) 開催時期:毎年春(審査は4月頃) 出品数:約1,500点以上
ワイン業界で最も権威あるコンペティションの一つに、日本酒部門が加わったことは、日本酒の国際的地位向上に大きく貢献した。
審査方法
ブラインドテイスティング 銘柄名を隠した状態で審査。先入観なく、純粋に味わいで評価。
審査員
- 国際的なワイン審査員
- 日本酒の専門家
- マスター・オブ・ワイン資格者
評価基準
- 外観
- 香り
- 味わい
- バランス
- 余韻
- 総合評価
100点満点で採点。点数に応じてメダルが授与される。
カテゴリー
IWC SAKE部門のカテゴリー:
特定名称酒
- 大吟醸
- 純米大吟醸
- 吟醸
- 純米吟醸
- 純米酒
- 本醸造
スタイル別
- スパークリング
- 古酒
- 普通酒
各カテゴリーで金・銀・銅メダル、そして最高賞のトロフィーが授与される。
賞の種類
トロフィー 各カテゴリーの最高賞。その年の最も優れた酒に授与。
金賞(Gold) 95点以上。卓越した品質。
銀賞(Silver) 90〜94点。優れた品質。
銅賞(Bronze) 85〜89点。良好な品質。
大会推奨酒(Commended) 75〜84点。推奨に値する品質。
チャンピオン・サケ
全カテゴリーのトロフィー受賞酒から、最高の1本が「チャンピオン・サケ」に選ばれる。
この栄誉を獲得した蔵は、世界最高の日本酒として大きな注目を集める。
Kura Master
概要
フランスで開催される日本酒コンクール。
設立:2017年 主催:Kura Master実行委員会(フランス) 開催時期:毎年6月頃(パリ) 出品数:約1,000点以上
フランス人を中心とした審査員が、フランス料理とのペアリングも意識して評価する。
フランス審査の特徴
審査員の構成
- フランス人ソムリエ
- フランス料理のシェフ
- ワインジャーナリスト
- 日本酒のスペシャリスト
フランスの食文化に精通した審査員が、フランス料理との相性も考慮して評価。
フランス料理との相性 フォアグラ、チーズ、魚介料理——フランス料理とどう合うかも評価のポイント。
カテゴリー
純米大吟醸酒部門 精米歩合50%以下の純米大吟醸。
純米酒部門 精米歩合の規定なし、純米酒全般。
にごり酒部門 にごり酒、どぶろく。
サケ・スパークリング部門 発泡性のある日本酒。
古酒部門 3年以上熟成させた酒。
賞の種類
プレジデント賞 全カテゴリーの最高賞。
審査員特別賞 審査員が特に印象に残った酒。
プラチナ賞 最上位の評価。
金賞 優れた品質。
全米日本酒歓評会
概要
アメリカで開催される、歴史ある日本酒品評会。
設立:2001年 主催:全米日本酒歓評会(Joy of Sake) 開催地:ホノルル、ニューヨークなど 出品数:約500点
北米市場を意識した審査が特徴。
審査方法
ブラインドテイスティング 銘柄を隠して審査。
審査員 アメリカを中心に、日本酒の専門家、ソムリエ、バイヤーが参加。
評価のポイント
- 香り
- 味わい
- バランス
- 個性
- 総合的な魅力
カテゴリー
大吟醸A(精米歩合40%以下) 最高級の大吟醸。
大吟醸B(精米歩合50%以下) 精米歩合50%以下の大吟醸・純米大吟醸。
吟醸(精米歩合60%以下) 吟醸・純米吟醸。
純米酒 精米歩合の規定なし。
賞の種類
グランプリ 各カテゴリーの最高賞。
金賞 優れた品質。
銀賞 良好な品質。
その他の国際品評会
SAKE SELECTION(ベルギー)
概要 ベルギーで開催される国際品評会。
特徴
- ヨーロッパのソムリエが審査
- ビール大国の視点
- フードペアリング重視
Hong Kong International Wine & Spirit Competition
概要 香港で開催される酒類コンペティション。
特徴
- アジア市場を意識
- 中華料理との相性
- 成長する中国市場への足がかり
London Sake Challenge
概要 ロンドンで開催される日本酒コンペティション。
特徴
- イギリス市場向け
- レストラン、バイヤー向け情報
- 新しいイギリスの日本酒シーン
品評会結果の読み方
賞の重み付け
品評会によって、賞の意味が異なる。
相対評価 vs 絶対評価
- 相対評価:出品酒の中で上位何%が受賞
- 絶対評価:一定基準を超えたものが受賞
受賞率 IWCでは、出品酒の約6〜7割がメダルを獲得。Kura Masterは厳選された酒のみ出品される傾向。
カテゴリーに注目
「金賞」だけでなく、どのカテゴリーで受賞したかを確認。
大吟醸部門の金賞 → フルーティーで香り高い酒
純米酒部門の金賞 → 米の旨味を活かした酒
燗酒部門の金賞 → 温めて美味しい酒
自分の好みに合ったカテゴリーの受賞酒を選ぶのがポイント。
複数の品評会で評価
一つの品評会だけでなく、複数の品評会で評価されている酒は、より信頼性が高い。
国内+国際 全国新酒鑑評会(国内)とIWC(国際)の両方で受賞している酒。
異なる視点 フランス(Kura Master)とアメリカ(全米日本酒歓評会)の両方で評価されている酒。
受賞年度を確認
受賞は、特定の年度の酒に対するもの。
最新の受賞 その蔵の現在の品質を反映。
継続的な受賞 毎年のように受賞している蔵は、安定した技術力がある証拠。
品評会を活用する
購入の参考に
品評会の結果は、酒選びの参考になる。
初めての銘柄を試す 受賞酒なら、一定の品質が保証されている。
贈答品選び 「国際品評会金賞受賞」は、ギフトの説得力を高める。
新しい発見 知らなかった蔵の酒と出会うきっかけに。
蔵元・店の情報源
公式サイト 各品評会の公式サイトで、受賞リストが公開されている。
酒販店のPOP 店頭で「○○品評会金賞」のPOPを探す。
日本酒アプリ 銘柄ごとの受賞歴を検索できるアプリも。
注意点
品評会受賞は、品質の一つの指標。
好みとの違い 受賞酒が必ずしも自分の好みに合うとは限らない。
出品酒と市販酒 品評会用の酒と、通常の市販酒が異なる場合も。
過度な信頼 受賞していなくても、素晴らしい酒はたくさんある。
日本国内の鑑評会との比較
全国新酒鑑評会
日本で最も権威ある鑑評会。
違い
- 審査員は日本人専門家中心
- 減点法で審査
- 「欠点のない酒」が評価される
- 技術力の証明
比較のポイント
| 項目 | 国内鑑評会 | 国際品評会 |
|---|---|---|
| 審査員 | 日本人中心 | 国際的 |
| 視点 | 技術的完成度 | 国際的な魅力 |
| 用途 | 技術向上 | 海外展開 |
| 評価基準 | 減点法 | 加点法も含む |
どちらが優れているというわけではなく、異なる価値がある。
まとめ
日本酒の国際品評会について、ポイントをまとめると:
主要な国際品評会
- IWC SAKE部門:世界最大規模、権威ある評価
- Kura Master:フランス料理との相性、ヨーロッパ視点
- 全米日本酒歓評会:北米市場向け、歴史ある品評会
結果の読み方
- カテゴリーに注目
- 複数の品評会で評価
- 受賞年度を確認
活用のポイント
- 購入の参考に
- 贈答品選びに
- 新しい発見のきっかけに
国際品評会の受賞は、日本酒が世界で認められた証。グローバルな視点で評価された酒を、ぜひ試してみてほしい。
受賞酒の選び方は受賞酒から選ぶをご覧ください。
海外での日本酒人気については海外での日本酒人気で解説しています。