受賞酒から選ぶ:品評会の見方と活用法
日本酒の品評会について解説。全国新酒鑑評会、IWC、Kura Masterなど主要な品評会の特徴と、受賞酒の選び方を紹介します。
受賞酒から日本酒を選ぶ
「金賞受賞」「○○コンクール入賞」——日本酒のラベルやPOPで、こうした表示を見かけることがある。
品評会で評価された酒は、品質の高さが保証されている。でも、品評会によって評価基準は異なり、「金賞」の意味も違う。受賞酒を選ぶ際に知っておきたい、品評会の見方と活用法を解説する。
品評会とは
品評会の目的
日本酒の品評会は、酒の品質を評価し、技術向上を促進するためのもの。
蔵元にとって
- 自社の酒の客観的な評価を得られる
- 技術力のアピールになる
- 他蔵との比較で課題が見える
消費者にとって
- 品質の目安になる
- 新しい銘柄を発見するきっかけに
- 贈答品選びの参考に
品評会の種類
大きく分けて、国内の品評会と国際的な品評会がある。
国内品評会
- 全国新酒鑑評会(独立行政法人酒類総合研究所)
- 全国燗酒コンテスト
- SAKE COMPETITION
- 各県の鑑評会
国際品評会
- IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)SAKE部門
- Kura Master(フランス)
- 全米日本酒歓評会
主要な品評会
全国新酒鑑評会
日本で最も権威ある品評会。
概要
- 主催:独立行政法人酒類総合研究所、日本酒造組合中央会
- 開催:毎年春(審査は4〜5月)
- 対象:その年の新酒
評価基準
- 香り、味、バランス、総合評価
- 減点法で審査
- 欠点のない、完成度の高い酒が評価される
賞の種類
- 金賞:最高評価。出品酒の約3割程度
- 入賞:金賞に次ぐ評価。出品酒の約5割程度
特徴 出品酒の多くは、コンテスト用に特別に造られた大吟醸。市販酒とは異なることも。金賞を取ることは蔵の技術力の証明になる。
IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)SAKE部門
世界最大規模のワイン品評会に、2007年から日本酒部門が設けられた。
概要
- 主催:IWC(イギリス)
- 開催:毎年(審査は春)
- 対象:世界中から出品される日本酒
評価基準
- 世界のワイン審査員と日本酒専門家が審査
- ブラインドテイスティング
- 国際的な視点での評価
賞の種類
- トロフィー:各カテゴリーの最高賞
- 金賞:優秀
- 銀賞:良好
- 銅賞:推奨
特徴 国際的な評価を得たい蔵が出品。海外での販売やインバウンド向けPRに活用される。
Kura Master
フランスで開催される日本酒コンクール。
概要
- 主催:Kura Master実行委員会(フランス)
- 開催:毎年(審査は6月頃、パリ)
- 対象:世界中から出品される日本酒
評価基準
- フランス人を中心としたソムリエ、料理人が審査
- フランス料理との相性も考慮
- ブラインドテイスティング
賞の種類
- プレジデント賞:最高賞
- プラチナ賞:最優秀
- 金賞:優秀
特徴 フランス料理とのペアリングを意識した審査。フランスワイン文化の視点で評価される。
全国燗酒コンテスト
燗酒に特化した品評会。
概要
- 主催:全国燗酒コンテスト実行委員会
- 開催:毎年秋
- 対象:燗にして美味しい日本酒
評価基準
- 燗(45℃前後)にした状態で審査
- 燗映えする酒を評価
- 食中酒としての適性
賞の種類
- 最高金賞:最高評価
- 金賞:優秀
特徴 冷酒向きの吟醸酒ではなく、燗にして美味しい酒が評価される。純米酒や本醸造が中心。日常的に飲む食中酒を探すのに参考になる。
SAKE COMPETITION
市販酒を対象とした品評会。
概要
- 主催:SAKE COMPETITION実行委員会
- 開催:毎年(審査は初夏)
- 対象:市販されている日本酒
評価基準
- 実際に市場で購入できる酒を審査
- ブラインドテイスティング
- 価格帯別のカテゴリー分け
賞の種類
- GOLD:金賞
- SILVER:銀賞
特徴 コンテスト用の酒ではなく、実際に買える酒を審査。消費者が参考にしやすい。
受賞酒を選ぶ際のポイント
品評会の特徴を理解する
品評会によって評価基準が異なる。
全国新酒鑑評会金賞 → 蔵の技術力が高い。コンテスト用の大吟醸が評価対象。
IWC金賞 → 国際的な評価。海外の味覚にも合う酒。
Kura Master金賞 → フランス料理との相性が良い。洋食に合わせたい時に。
全国燗酒コンテスト金賞 → 燗にして美味しい。日常の食中酒として。
「金賞=美味しい」ではない
金賞を取った酒が、必ずしも自分の好みに合うとは限らない。
品評会は一定の基準で評価されるが、好みは人それぞれ。「欠点がない完成度の高い酒」より、「クセのある個性的な酒」が好きな人もいる。
受賞は品質の目安にはなるが、最終的には自分で飲んで判断することが大切。
カテゴリーを確認する
品評会には複数のカテゴリーがある。
- 大吟醸部門
- 純米大吟醸部門
- 純米酒部門
- 本醸造部門
- 吟醸部門
- スパークリング部門
- 古酒部門
同じ「金賞」でも、大吟醸の金賞と本醸造の金賞では、酒のタイプが全く異なる。自分が求めるタイプの酒が受賞しているか、カテゴリーを確認する。
受賞年を確認する
受賞は特定の年の酒に対するもの。
10年前の金賞を今もアピールしている酒より、最近受賞した酒の方が、現在の品質を反映している可能性が高い。
また、毎年受賞している蔵は、安定した技術力がある証拠。
受賞酒の活用シーン
贈答品として
品評会受賞酒は、贈り物に最適。
メリット
- 品質が保証されている安心感
- 「金賞受賞」という箔がつく
- 相手に説明しやすい
選び方のコツ
- 有名な品評会の受賞酒を選ぶ
- 化粧箱入りのものを選ぶ
- 受賞シールが貼られているものを選ぶ
自分へのご褒美
特別な日に、受賞酒で乾杯。
全国新酒鑑評会の金賞酒は、その年の蔵の最高傑作であることが多い。記念日や誕生日に開けると特別感がある。
蔵の実力を知る
気になる蔵があれば、その蔵の受賞歴を調べてみる。
毎年のように受賞している蔵は、安定した技術力がある。逆に、受賞歴がなくても素晴らしい酒を造る蔵もある。受賞歴は一つの参考情報として活用する。
新しい銘柄との出会い
品評会の結果は、知らない銘柄と出会うきっかけになる。
「この酒、聞いたことないけど金賞なのか」——そんな発見から、新しいお気に入りが見つかることも。
受賞酒を探す方法
品評会の公式サイト
各品評会の公式サイトで、受賞酒リストが公開されている。
- 全国新酒鑑評会:酒類総合研究所サイト
- IWC:IWC公式サイト
- Kura Master:Kura Master公式サイト
酒販店のPOP
酒屋やスーパーの日本酒売り場で、「金賞受賞」のPOPを探す。
受賞シールが貼られた瓶を選ぶと、間違いがない。
日本酒アプリ・メディア
日本酒専門のアプリやウェブメディアでは、品評会の結果がまとめられていることが多い。
検索しやすく、好みの条件で絞り込める。
受賞酒だけにとらわれない
品評会は、日本酒を選ぶ際の一つの指標。
でも、受賞していない酒にも、素晴らしいものはたくさんある。小規模な蔵は品評会に出品しないこともあるし、コンテスト向きではないが個性的で美味しい酒もある。
受賞酒を参考にしつつ、自分の舌で好みを見つけていくのが、日本酒を楽しむコツ。
まとめ
品評会と受賞酒について、ポイントをまとめると:
主要な品評会
- 全国新酒鑑評会:国内最高権威、技術力の証明
- IWC:国際的な評価、海外の視点
- Kura Master:フランス料理との相性
- 全国燗酒コンテスト:燗酒向き、食中酒
選ぶ際のポイント
- 品評会の特徴を理解する
- カテゴリーを確認する
- 受賞年を確認する
- 「金賞=自分の好み」ではない
受賞酒は、品質の高さが保証された安心感がある。贈答品や特別な日の一本として、ぜひ活用してみてほしい。
入手困難な日本酒については入手困難な日本酒をご覧ください。
日本酒の選び方は日本酒デビューで詳しく解説しています。