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にごり酒・どぶろくの世界:白く濁った酒の楽しみ方

にごり酒・どぶろくの世界:白く濁った酒の楽しみ方

にごり酒とどぶろくの違いから、その魅力、選び方、楽しみ方まで詳しく解説。白く濁った日本酒の奥深い世界への入門ガイド。

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執筆: delicious sake 編集部

白く濁った酒の魅力

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初めてにごり酒を飲んだとき、正直に言うと「なんだこれ」と思った。

透明な日本酒に慣れていた私には、白く濁った液体が酒に見えなかった。一口飲んで、また驚いた。クリーミーで、甘くて、まるでデザートのよう。これが日本酒?

後から知ったのだが、かつての日本酒はすべて濁っていたという。透明な清酒は比較的新しい技術で、濁り酒こそが日本酒の原点なのだ。

にごり酒とどぶろくは違う

よく混同されるが、この二つは別物だ。

どぶろく

米、米麹、水を発酵させて、そのまま飲むもの。濾していない。

法律上は「清酒」ではなく「その他の醸造酒」になる。なぜなら、酒税法では「濾す」という工程を経ないと清酒と呼べないから。

昔の農家は自分で醸造していたが、今は免許がなければ造れない。岩手県遠野市など「どぶろく特区」で農家民宿がどぶろくを出しているのは、特別な制度のおかげだ。

どぶろくは米粒がそのまま残っている。とろりとしていて、甘みが強い。アルコール度数は14〜17%くらい。

にごり酒

醪(もろみ)を粗い目の布や網で濾したもの。濾してはいるが、細かい米の粒子や澱が残る。

法律上は「清酒」に分類される。ちゃんと濾しているから。

米粒は残らない(または非常に細かい)。さらりとしたものから、とろりとしたものまで幅がある。甘口も辛口もある。

活性にごり、開栓注意

にごり酒の中でも「活性にごり」と書いてあるものは、瓶の中でまだ発酵が続いている。

つまり、炭酸ガスが生まれ続けている。開けるとき、吹き出す可能性がある。

私は一度、冷やし方が足りない活性にごりを勢いよく開けて、天井に酒を吹き上げたことがある。白い液体が放物線を描いて飛んでいく様子を、私は茫然と見ていた。

教訓:活性にごりは必ず冷やす。冷蔵庫で最低3時間。振らない。ゆっくり開ける。吹きそうになったら栓を戻す。

この失敗以来、活性にごりを開けるときはシンクの上か、最悪の場合は屋外で開けることにしている。

味のバリエーション

にごり酒は一種類じゃない。

濁り具合

うすにごりは、透明感が残る程度の軽い濁り。味も軽やかで、食中酒として使いやすい。

標準的なにごり酒は、クリーミーな口当たり。甘みと旨みのバランスがいい。

どろどろ系は、とにかく濃厚。デザート感覚で楽しめる。食後酒向き。

甘辛

甘口が多いが、辛口のにごり酒もある。

甘口は、糖分を残して発酵を止めている。日本酒初心者にも飲みやすい。フルーツやデザートと合う。

辛口は、すっきりした味わい。食事と合わせやすい。「にごり酒は甘い」という先入観を覆される。

酸味系

乳酸菌由来の酸味が際立つタイプもある。ヨーグルトのような風味。チーズとの相性がいい。

飲み方のコツ

温度

**冷やして(5〜10℃)**が最もポピュラー。爽やかな甘みとクリーミーさを楽しめる。活性タイプは必ず冷やす。

**常温(15〜20℃)**だと、米の旨みがより感じられる。とろみも増す。

意外かもしれないが、**ぬる燗(40℃前後)**もいける。甘みが引き立ち、冬にぴったり。ただし、活性タイプは温めてはいけない。吹き出す。

澱の扱い

にごり酒は放っておくと、澱が沈殿して上澄みと分かれる。

混ぜて飲むのが標準。瓶をゆっくり上下に返して、均一な濁りにする。

でも、私のおすすめは最初は上澄み、後半は澱を混ぜるという飲み方。一本で二度楽しめる。上澄みはさらりとして、澱を混ぜると濃厚になる。違う酒を飲んでいるような変化がある。

酒器

グラスだと中身の濁り具合が見える。視覚的にも楽しい。ワイングラスでもいい。

陶器なら、黒や藍色の器がおすすめ。白い器だと濁りが映えない。

料理との組み合わせ

にごり酒は、意外な料理と合う。

クリーム系——クリームシチュー、グラタン、カルボナーラ。同じクリーミーさで調和する。和食じゃなくていいのだ。

発酵食品——チーズ、ヨーグルト、漬物。発酵同士の親和性がある。特に酸味系のにごり酒とチーズの組み合わせは、ワイン好きにも勧められる。

辛い料理——麻婆豆腐、カレー、エスニック。甘いにごり酒が辛さを和らげてくれる。これは意外だったが、本当に合う。

デザート——フルーツ、アイスクリーム、和菓子。甘口のにごり酒をデザート酒として。バニラアイスににごり酒をかけて食べる、という贅沢もある。

繊細な刺身には合わない。にごり酒の味が勝ってしまう。

どぶろく特区を訪ねる

本物のどぶろくを飲むなら、どぶろく特区を訪れるのがいい。

岩手県遠野市はどぶろく特区の先駆け。農家民宿に泊まると、自家製のどぶろくを出してくれる。遠野の米と水で作った、その土地でしか飲めない味。

岐阜県白川郷のどぶろく祭りは有名だ。秋の収穫祭で、神事としてどぶろくが振る舞われる。合掌造りの里で飲むどぶろくは、タイムスリップしたような体験。

私が遠野を訪れたとき、民宿のおばあちゃんが「今朝搾ったよ」と言って出してくれたどぶろくは、忘れられない味だった。甘くて、でも後味がさっぱりしていて、どこかなつかしい。スーパーで買うにごり酒とは、根本的に何かが違った。

保存の注意点

にごり酒は劣化しやすい。普通の日本酒よりも気を使う必要がある。

**冷蔵保存が基本。**特に活性タイプは必ず冷蔵庫に入れる。温度が上がると発酵が進んで味が変わる。

**開けたら1週間以内に。**澱が沈殿したら、飲む前に軽く混ぜる。香りが落ちてきたら、燗にしてみる手もある。

**熟成は上級者向け。**一部のにごり酒は熟成できるが、活性タイプの長期保存は危険。吹き出す可能性がある。

日本酒の原点

透明な清酒に慣れていると、にごり酒は異質に見えるかもしれない。

でも、これが日本酒の原点なのだ。濾す技術がなかった時代、日本酒はすべて白く濁っていた。神様に供える酒も、農民が祝い事で飲む酒も、みんな濁り酒だった。

その素朴な味わいには、清酒にはない魅力がある。米の恵みがダイレクトに感じられる。発酵の力が、そのまま口の中に広がる。

冬のしぼりたてにごり、春の活性にごり。季節ごとの味わいを、ぜひ試してみてほしい。


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