スパークリング日本酒:泡で楽しむ新しいスタイル
スパークリング日本酒の種類、製法、選び方、楽しみ方を徹底解説。シャンパンのように泡立つ日本酒の魅力と、おすすめの飲み方をご紹介。
泡立つ日本酒が、日本酒観を変える

「日本酒は苦手で…」
そう言っていた友人に、スパークリング日本酒を勧めてみた。一口飲んで、目を丸くしている。
「え、これ日本酒? 全然違う。美味しい」
シュワシュワと弾ける泡。軽やかな飲み口。フルーティーな香り。彼女が知っている「日本酒」のイメージとは、まるで別物だったらしい。
スパークリング日本酒は、日本酒の世界への入り口として最適だと思う。日本酒好きな人にとっても、新鮮な驚きがある。この記事では、泡立つ日本酒の魅力を紹介したい。
そもそもスパークリング日本酒とは
炭酸ガスを含んだ日本酒のこと。シャンパンやスパークリングワインの日本酒版、と考えるとイメージしやすい。
アルコール度数は5〜15%と幅広い。低アルコールでジュースのように飲めるものから、しっかり日本酒らしい味わいのものまで、バリエーションが豊富だ。
意外かもしれないが、「泡が出る日本酒」自体は昔からあった。発酵中の酒を瓶詰めすれば、自然と炭酸が生まれる。ただ、それを「製品」として安定して造れるようになったのは、比較的最近のことだ。
製法で味が変わる
スパークリング日本酒は、製法によって大きく3タイプに分かれる。
瓶内二次発酵
シャンパンと同じ製法。瓶の中で酵母が糖を食べて炭酸を生む。手間がかかるが、きめ細かい泡と複雑な味わいが生まれる。
「awa酒」という認定制度があり、この製法で造られた高品質なスパークリング日本酒だけが名乗れる。贈り物にするなら、awa酒認定のものを選ぶと間違いない。
活性にごり
発酵途中のもろみをそのまま瓶詰めしたもの。瓶の中でまだ発酵が続いているので、開けるときに注意が必要だ。
私は一度、冷やし足りない活性にごりを開けて、天井まで酒を吹き上げたことがある。冷蔵庫でしっかり冷やして、ゆっくり開けること。これは教訓として覚えておいてほしい。
炭酸ガス注入
完成した日本酒に、後から炭酸を加える方法。コストを抑えられるので、手頃な価格のスパークリング日本酒に多い。
泡は大きめで、抜けやすい傾向がある。でも、気軽に楽しむには十分だ。
甘口か辛口か
スパークリング日本酒を選ぶときの最大のポイントは、甘口か辛口か。
甘口タイプ
アルコール度数5〜8%程度。糖分を残して発酵を止めているので、甘くてフルーティー。
代表格は「すず音」と「澪(みお)」。どちらもスーパーで買えて、日本酒初心者にも勧めやすい。マスカットや桃のような香りがして、デザート感覚で楽しめる。
日本酒が苦手な人、ワインやチューハイが好きな人には、まず甘口を勧めている。
辛口タイプ
アルコール度数12〜15%程度。しっかり発酵させているので、ドライな味わい。
「南部美人 あわさけ」「七賢 スパークリング」などが代表格。日本酒好きにも満足感がある。食事と合わせるなら、こちらの方が使いやすい。
刺身や寿司、天ぷらなど、和食との相性が抜群。シャンパンの代わりに使える場面も多い。
開け方に注意
スパークリング日本酒で一番気をつけるべきは、開栓のとき。
**必ず冷やす。**冷えていないと、開けた瞬間に吹き出す。冷蔵庫で最低3時間、できれば半日は冷やしておく。
**振らない。**当たり前だが、振ると泡立つ。買ってきたら、静かに冷蔵庫に入れる。
**ゆっくり開ける。**キャップを少しずつ緩めて、ガスを逃がしながら開ける。吹きそうになったら、一度キャップを戻して落ち着かせる。
私の天井事件は、冷やし方が足りなかった上に、一気に開けたのが原因だった。同じ失敗をしないでほしい。
飲み方のコツ
グラス
フルートグラスがベスト。シャンパングラスのような細長い形。泡が美しく立ち上り、見た目も華やか。
なければワイングラスでもいい。香りを楽しみたいなら、むしろワイングラスの方が向いている。
おちょこやぐい呑みは、スパークリング日本酒には向かない。泡がすぐ抜けてしまう。
温度
**しっかり冷やして。**5〜8℃が適温。冷蔵庫から出してすぐ飲むのがベスト。
温まると泡が抜けるし、甘口タイプは甘さがくどくなる。飲み切れない分は、すぐ冷蔵庫に戻す。
料理との組み合わせ
甘口タイプは、意外と料理を選ぶ。デザートやフルーツとは合うが、塩気のある料理とは微妙なことが多い。食前酒として、または食後のデザートと一緒に。
辛口タイプは、食事全般に合わせやすい。特に相性がいいのは:
- 刺身、寿司(泡が口をさっぱりさせる)
- 天ぷら、唐揚げ(油を流してくれる)
- 生ハム、カルパッチョ(ワイン的な使い方)
- チーズ(意外と合う)
おすすめの銘柄
初心者向け(甘口・低アルコール)
一ノ蔵 すず音 スパークリング日本酒のパイオニア。アルコール5%で飲みやすく、きめ細かい泡が美しい。日本酒デビューに最適。720mlで1,500円前後。
宝酒造 澪(みお) スーパーやコンビニで買える手軽さ。マスカットのような香り。アルコール5%。300mlで500円前後と、試しやすい価格。
獺祭 スパークリング45 獺祭のスパークリング版。甘口だが、獺祭らしいフルーティーさがある。アルコール14%で、しっかり日本酒感もある。
日本酒好き向け(辛口・本格派)
南部美人 あわさけ スパークリング awa酒認定。瓶内二次発酵の本格派。辛口でキレがあり、食事に合わせやすい。海外でも高い評価を受けている。
七賢 星ノ輝 スパークリング 山梨の名門、七賢のスパークリング。きめ細かい泡と、すっきりした味わい。和食だけでなく、フレンチにも合う。
水芭蕉 ピュア 群馬の永井酒造。awa酒認定第1号。繊細な泡と上品な味わい。特別な日の乾杯に。
保存について
スパークリング日本酒は、普通の日本酒より気を使う。
**未開封でも冷蔵必須。**常温に置くと、品質が落ちる。買ったらすぐ冷蔵庫へ。
**立てて保存。**横にすると、開けるときに吹き出しやすくなる。
**早めに飲む。**製造から6ヶ月〜1年が目安。古くなると泡が弱くなる。
**開封後は当日中に。**泡がどんどん抜けていく。翌日には、もうスパークリングとは呼べない状態になる。
どうしても残す場合は、スパークリングワイン用のストッパーを使う。多少は泡の抜けを遅らせられる。
日本酒の入り口として
スパークリング日本酒は、「日本酒は苦手」という人の概念を覆す力がある。
冒頭の友人は、あれ以来、少しずつ普通の日本酒にも興味を持つようになった。「泡なしの日本酒も飲んでみたい」と言い出したのだ。スパークリングが、日本酒の世界への入り口になった。
逆に、日本酒をよく飲む人にとっても、スパークリングは新鮮な体験だ。「日本酒にこんな顔があったのか」という驚きがある。
シュワっと弾ける泡の中に、日本酒の新しい可能性が詰まっている。まだ試したことがなければ、ぜひ一度。
日本酒の種類についてもっと知りたい方は、にごり酒・どぶろくの世界もご覧ください。
日本酒が苦手な方には日本酒が苦手な人へもおすすめです。