福島の日本酒:金賞受賞数日本一の実力
全国新酒鑑評会で金賞受賞数日本一を誇る福島県。飛露喜、写楽、廣戸川など注目の銘柄と、その品質の秘密を紹介します。
福島の日本酒:品質日本一への挑戦
全国新酒鑑評会。日本酒の品質を競う最も権威ある大会だ。
福島県は、この鑑評会で金賞受賞数日本一を何度も獲得している。2012年から2021年まで、10年連続で金賞受賞数トップという驚異的な記録も持つ。
飛露喜、写楽、廣戸川、天明。なぜ福島の酒がこれほど高い評価を受けるのか。その秘密に迫ろう。
福島が「品質日本一」になった理由
多様な自然環境
福島県は、浜通り、中通り、会津の3つの地域に分かれる。
会津地方 盆地特有の寒暖差と、飯豊山系・磐梯山系からの伏流水。会津は昔から酒どころとして知られ、県内の蔵の多くがこの地域に集中している。
中通り 阿武隈山地と奥羽山脈に挟まれた地域。安達太良山の伏流水が豊富。
浜通り 太平洋沿岸の温暖な地域。海の幸と地酒の組み合わせが楽しめる。
この多様な環境が、それぞれの地域の個性的な酒を生んでいる。
県を挙げた品質向上運動
福島県の酒質向上は、県を挙げた取り組みの成果だ。
福島県酒造組合の活動 県内の蔵元が技術を共有し、互いに切磋琢磨する文化がある。ライバルでありながら、情報を共有して全体のレベルを上げてきた。
福島県ハイテクプラザ 県の研究機関が、酒造りの技術支援を行っている。酵母の開発、醸造技術の指導など、科学的なアプローチで品質向上を支援。
「うつくしま夢酵母」の開発 福島オリジナルの酵母として開発された。華やかな香りを生み、全国新酒鑑評会での金賞獲得に貢献している。
2011年以降の挑戦
2011年の東日本大震災と原発事故。
福島の酒は風評被害に苦しんだ。だが、県内の蔵元たちは「品質で勝負する」という決意を新たにした。
2012年から始まった金賞受賞数日本一の連続記録は、その決意の結果だ。逆境を乗り越え、福島の酒は以前にも増して高い品質を実現した。
福島の酒の特徴
繊細で上品
福島の酒を一言で表すなら「繊細で上品」。
軟水を使った仕込みが多く、口当たりがやわらか。香りは華やかだが派手すぎず、品のある味わい。
バランスの良さ
甘すぎず、辛すぎず、香りも強すぎない。
「突出したものはないが、欠点もない」というのは、実は最も難しい。このバランスの良さが、鑑評会での高評価につながっている。
代表的な銘柄
飛露喜(廣木酒造本店)
福島を代表する人気銘柄。
かつては廃業寸前だった小さな蔵が、現当主の努力で全国区の人気銘柄に。フルーティで透明感のある味わいは、多くのファンを魅了している。
入手困難で、見かけたら即買いしたい酒の一つ。
写楽(宮泉銘醸)
会津若松の蔵が造る、注目の銘柄。
2000年代に「写楽」ブランドを立ち上げ、瞬く間に人気銘柄に。華やかな香りとジューシーな甘み。若い世代にも人気が高い。
廣戸川(松崎酒造)
天栄村の小さな蔵が造る、実力派。
全国新酒鑑評会で金賞常連。派手さはないが、完成度の高い味わい。「品質日本一」の福島を象徴するような酒。
天明(曙酒造)
会津坂下町の蔵。
「中取り」にこだわり、もろみの最も美味しい部分だけを使う。きれいでありながら、しっかりとした旨味がある。
奈良萬(夢心酒造)
喜多方の蔵が造る、食中酒の傑作。
「おだやか」という言葉がぴったりの、優しい味わい。料理を邪魔せず、むしろ引き立てる。毎日飲んでも飽きない酒。
会津中将(鶴乃江酒造)
女性杜氏が醸す、繊細な酒。
会津若松の老舗が、女性ならではの感性で造る酒。「ゆり」という女性向けラインナップも人気。
大七(大七酒造)
生酛造りの名門。
二本松市で300年以上続く老舗。生酛造りにこだわり、独特のコクと深みを持つ酒を造り続けている。
福島の酒を楽しむなら
料理との相性
繊細な福島の酒は、素材を活かした料理と好相性。
馬刺し 会津の名物。臭みのない馬肉と、きれいな酒の組み合わせは最高。
こづゆ 会津の郷土料理。干し貝柱の出汁で野菜を煮た上品な料理。地酒との相性抜群。
喜多方ラーメン 意外な組み合わせだが、喜多方ラーメンの後に飲む地酒も乙なもの。
川魚料理 イワナ、ヤマメの塩焼き。山の幸と山の酒。
温度帯
福島の吟醸酒は、冷やして楽しむのが定番。
ただし、「大七」のような生酛造りの酒は、燗にすると旨味が増す。純米酒も、ぬる燗で楽しめるものが多い。
現地で味わう
会津若松 酒蔵が集中するエリア。「末廣酒造嘉永蔵」は見学施設が充実。七日町通りには、地酒を楽しめる店が多い。
喜多方 ラーメンだけでなく、酒蔵も多い町。蔵の町並みを歩きながら、酒蔵巡りができる。
郡山・福島 県の中心部。地酒を揃えた居酒屋で、県内各地の酒を飲み比べられる。
最近の動き
「ふくしまプライド」の発信
福島県は、県産品のブランド力向上に力を入れている。
日本酒もその一つ。「ふくしまの酒」として、国内外への発信を強化。海外のコンペティションへの出品も積極的に行っている。
若い蔵元の台頭
福島には、若い世代の蔵元が多い。
伝統を守りながらも、新しい挑戦を続けている。「写楽」「廣戸川」「天明」など、2000年代以降に頭角を現した銘柄は、若い蔵元の努力の結果だ。
まとめ
福島の日本酒は、逆境を乗り越えて品質日本一を勝ち取った、挑戦の結晶。
繊細で上品な味わいは、日本酒の一つの理想形。全国新酒鑑評会での実績が、その品質の高さを証明している。
福島の酒に興味を持ったら、まずは廣戸川や奈良萬あたりから。そして機会があれば、会津の酒蔵を巡りながら、こづゆと地酒を楽しむ旅をしてほしい。福島の酒は、飲む人の期待を裏切らない。
新潟の日本酒については新潟の日本酒をご覧ください。
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