日本酒カクテル:サケモヒートからサケティーニまで
日本酒を使ったカクテルの世界。定番レシピから自宅で作れる簡単アレンジまで。日本酒の新しい楽しみ方を発見しよう。
日本酒カクテルという冒険

「日本酒をカクテルにするなんて邪道だ」
日本酒好きの先輩にそう言われたことがある。確かに、良い酒はストレートで味わうべきかもしれない。
でも、私は反論したい。
飲みきれなかった日本酒を眺めて「勿体ないけど捨てるか」となるより、カクテルにして美味しく飲みきった方がいい。日本酒が苦手な人に「これなら飲める」と言わせる入り口になるなら、それは「邪道」ではなく「可能性の拡張」だ。
実際、海外では日本酒カクテルがトレンドになりつつある。「Saketini」を出すバーがニューヨークにもロンドンにもある。日本酒の新しい楽しみ方として、カクテルは十分にアリだと思う。
なぜ日本酒はカクテルに向くのか
度数がちょうどいい
ウイスキーやジンは40度前後。カクテルにすると、割り方次第でアルコールが強すぎたり薄すぎたりする。
日本酒は15度前後。そのまま炭酸で割るだけで、程よい強さのカクテルになる。失敗しにくい。
主張しすぎない
ジンのジュニパー香、ウイスキーのスモーキーさ。こういう強い個性は、合わせる素材を選ぶ。
日本酒は穏やか。フルーツでもハーブでも、相手を選ばず馴染む。「縁の下の力持ち」タイプのベースだ。
旨味が深みを出す
これはワインやビールにもない特徴。
日本酒にはアミノ酸由来の旨味がある。カクテルにすると、この旨味が全体に深みを与える。「なんか美味しい、なんでだろう」の正体がこれだ。
失敗しないカクテル5選
複雑なレシピは省く。自宅で、特別な道具なしで作れるものだけを紹介する。
日本酒ハイボール
一番シンプル。これで十分美味しい。
材料
- 日本酒:60ml
- 炭酸水:120ml
- レモン:お好みで
作り方 氷を入れたグラスに日本酒を注ぎ、炭酸水を加えて軽く混ぜる。レモンを搾れば爽やかさが増す。
キレのある辛口の日本酒がベスト。ぬるくなると美味しくないので、グラスも日本酒も冷やしておくこと。
私は夏の暑い日、風呂上がりにこれを作る。ビールの代わりに。さっぱりして、でもビールより酔わない。
サケモヒート
バーで出されることも多い、定番の日本酒カクテル。
材料
- 日本酒:60ml
- ライム:1/2個
- ミントの葉:8枚くらい
- 砂糖:小さじ1
- 炭酸水:適量
作り方 グラスにミントと砂糖を入れ、ライムを搾る。マドラーやスプーンの背で軽く潰す(潰しすぎると苦くなる)。氷を入れ、日本酒を注ぎ、炭酸水で満たして軽く混ぜる。
フルーティーな吟醸酒を使うと、香りが華やかになる。パーティーで出すと「何これ美味しい」と必ず言われる。
日本酒サングリア
果物をたっぷり使った、見た目も華やかなカクテル。
材料(4人分)
- 日本酒:300ml
- オレンジ:1個
- りんご:半分
- ベリー類:適量
- はちみつ:大さじ2
- 炭酸水:200ml
作り方 果物を食べやすい大きさに切り、ピッチャーに入れる。日本酒とはちみつを加えて冷蔵庫で2時間以上漬け込む。飲む前に炭酸水を加える。
甘口の純米酒か、にごり酒を使うと美味しい。漬け込み時間が長いほど、果物の味が染み出る。一晩漬けても良い。
友人の誕生日パーティーでこれを出したら、日本酒が苦手だった友人が「これならいくらでも飲める」と言った。見た目の華やかさも、気分を上げてくれる。
日本酒ジンジャー
生姜の刺激がクセになる。
材料
- 日本酒:60ml
- ジンジャーエール:120ml
- ライム:お好みで
作り方 氷を入れたグラスに日本酒を注ぎ、ジンジャーエールで満たす。ライムを搾っても良い。
辛口の日本酒と辛口ジンジャーエールの組み合わせが好み。甘口ジンジャーエールだと、デザート感覚になる。
日本酒オレンジ
日本酒が苦手な人の入門に。
材料
- 日本酒:60ml
- オレンジジュース(100%):90ml
作り方 氷を入れたグラスに日本酒を注ぎ、オレンジジュースを加えて混ぜる。
フルーティーな吟醸酒を使えば、「これ日本酒入ってるの?」というレベルで飲みやすくなる。果汁100%のジュースを使うこと。濃縮還元でもいいが、ストレート果汁だと格段に美味しい。
季節のカクテル
せっかくなら、季節感も楽しみたい。
春:桜カクテル
桜リキュール15mlと日本酒60mlを混ぜ、炭酸水で割る。桜の塩漬けを浮かべれば、花見にぴったり。
夏:すいかサケ
すいかをミキサーにかけて漉した果汁90mlと、日本酒60mlを混ぜる。氷を入れて。暑い日に最高。
秋:梨サケ
梨ジュース90mlと日本酒60mlを混ぜ、シナモンを少々振る。秋の夜長に。
冬:ホット柚子サケ
日本酒90mlを軽く温め、柚子ジャム大さじ1を溶かす。身体が芯から温まる。風邪気味の時にも。
カクテルに使う日本酒の選び方
向いている酒
安価な普通酒 カクテルにするなら、高い酒は勿体ない。四合瓶500〜800円くらいので十分。
飲みきれなかった酒 開けて2〜3日経った日本酒。ストレートでは風味が落ちてきたもの。カクテルなら美味しく飲みきれる。
個性の穏やかな酒 淡麗辛口や、香り控えめの純米酒。相手を選ばず馴染む。
避けた方がいい酒
高価な大吟醸 繊細な香りがカクテルに埋もれる。勿体ない。ストレートで飲むべき。
個性が強すぎる酒 熟成古酒、山廃で癖のあるもの。カクテルにしても調和しにくい。
劣化した酒 酸っぱくなったり、変な匂いがする酒は、カクテルにしてもごまかせない。素直に捨てよう。
道具について
特別な道具は要らない。
最低限
- 計量カップ(100均のでいい)
- 長めのスプーン
- グラス
あると便利
- マドラー(スプーンの背で代用可)
- シェイカー(本格的にやるなら)
シェイカーがなくても、蓋付きの容器で振れば同じこと。タッパーでもペットボトルでも、清潔ならOK。
「邪道」への反論
冒頭の先輩にはこう答えた。
「蕎麦をざるで食べるのが正統でも、かけ蕎麦を否定する人はいないでしょう。日本酒も同じです。いろんな楽しみ方があっていい」
日本酒の世界を広げる手段として、カクテルは有効だ。苦手な人を振り向かせ、新しいファンを生む。それは日本酒にとってプラスでしかない。
ストレートで味わうのは素晴らしい。でも、カクテルも悪くない。両方楽しめばいいだけの話だ。
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日本酒の基本について知りたい方は日本酒とはをどうぞ。